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「あなたがたはわたしを何者だと言うのか」と私たち一人一人が今主イエスから問われているのです。この問いへの答の中にわたしのキリスト教、あなたのキリスト教があります。今年の２・１１研修会のテーマは「日本宣教の課題」−バルメン宣言をふまえて−ということでした。バルメン宣言は正式には｢ドイツ福音主義教会の今日の状況に対する神学的宣言｣ですが、ヒットラーが政権を掌握し、すべてを一元化して諸国に侵攻していくという情況の中で、1934年５月、これに抗する人々がバルメンに集まり、その信仰を告白したのです。この宣言は序文と６項目の信仰箇条からなっていますが、第１項はこうです。『聖書においてわれわれに証しされているイエス・キリストは、われわれが聞くべき、またわれわれが生と死において信頼し、服従すべき神の唯一のみ言葉である。』そしてこの宣言は『神のみ言葉は、とこしえに保つ』という言葉で結ばれています。
皆さんにとってイエスとはどういう方でしょうか。ペトロはここで「あなたは、メシアです」と告白しました。これはイエス様に直接に触れた者でなければなしえない告白です。しかし、主イエスご自身がそのメシア観を明らかにされると、ペトロは「主よ、とんでもないことです」と主イエスを諌めます。それに対してキリストは「サタンよ、引きさがれ。あなたは神のことを思わず、人間のことを思っている」とペトロを退けます。正しい言葉、必ずしも正しい内容ではないのです。
私は今日の箇所を読みながら、「あなたは、あなたの生活によってイエス・キリストが誰であるかを日々証ししているのです」という言葉が心に浮かびました。私たちが言葉で何と言うか、それも大事なのですが、あなたの生活自体がイエス・キリストに対する信仰を表し、あなたがイエス・キリストをいかなる方であると信じているかの現れなのです。これに例外はありません。そういう意味で私たちはイエス・キリストの証人です。人々は私たちを見て、"イエス・キリストという人は、あのように言動する人を生み出すのだ"と判断します。私たちはそういう意味では、逃げも隠れもできないキリストの証人です。私たちはその言動によって、日ごと、毎瞬時、毎瞬間、イエス・キリストを宣べ伝えているのです。
私たちも「聖書に証しされているイエス・キリストが生と死において信頼し、服従すべき神の唯一のみ言葉である」こと、そのみ言葉がとこしえに存続することを信じています。そして、どの宗教も自らの絶対性を主張します。絶対なるものは、一つです。そしてイエス・キリストの絶対性を証明する方法も、ただ一つ、私たちの生活そのものです。イエス・キリストが主であられるのですから、私たちはこの方に服する僕として生きます。イエス・キリストに倣って、僕として無私の奉仕に徹する以外の道を歩むことはできません。私たちがイエスを主・キリスト、唯一の神のみ言葉と信じるならば、どこまでもこの方を信じ、この方に従って、無私の奉仕に生きるのです。奴隷は偉そうなことは言わないものです。仕える者です。徹底的に無私の奉仕に生きる。そのことによってキリストの絶対性を実証すればそれで足りるのです。ヒットラーの時代に殉教したボンヘッファーの言葉、そこに彼の信仰と神学が結実していると思える言葉があります。『われわれがキリスト者であるということは、今日ではただ二つのことにおいてのみ成り立つであろう。すなわち、祈ることと、人々の間で正義を行うこと。』正にこれは至言ではないでしょうか。
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