心は喜び、魂は踊る

「わたしは絶えず主に相対しています。主は右にいまし、わたしは揺らぐことがありません。」

私たちは2002年の教会の主題聖句として、標記の詩編第16篇8節の御言葉を選びました。

この詩編作者にとっては神こそが全てであります。２節「あなたはわたしの主、あなたのほかにわたしの幸いはありません。」この「幸い」という言葉は普通「善」と訳されます。「あなたを越える善はありません。」これが直訳です。私たちも今日までの歩みにおいて、神様の無類の善意を経験して来ました。神は至上の善にいまして、全ての善の源であられます。

６節に「わたしは輝かしい嗣業を受けました」とあります。嗣業とは相続財産の事です。「輝かしい」は「美しい」で、彼にとっては、神こそ至上の美なのです。また１０節に、「あなたの慈しみに生きる者に墓穴を見させず、命の道を教えてくださいます」とあり、慈しみは神の不動の真実です。彼にとって神が至上の真・善・美なのです。１１節に「私はあなたの御手から永遠の喜びを頂きます」とあり、８〜９節には「わたしは絶えず主に相対しています。主は右にいまし、わたしは揺らぐことがありません。わたしの心は喜び、魂は躍ります。からだは安心して憩います」とあります。正に彼にとっては、神が喜びであり平和なのです。10節には、「あなたはわたしの魂を陰府に渡すことなく、あなたの慈しみに生きる者に墓穴を見させない」とあります。正にこれは復活であり、永遠の命であります。命は神の中にあります。その命の喜びを神様はその御手から信仰者に賜るのです。

1節に「神よ、守ってください。あなたを避けどころとするわたしを」とあり、口語訳では「神よ、わたしをお守りください。わたしはあなたに寄り頼みます」となっていました。直訳ですと、「神よ、わたしを守ってください。わたしはあなたの中に逃げ込みます」となり、パウロは詩編でしばしば使われるこの「神の中に」という言葉使いから「キリストにあって」という表現を使います。すべての善きことは神様の中にあります。その神に逃げ込む。神に寄り頼む。「逃げ込む」は「隠れる」という意味でもあります。ただ隠れるのではなくて、身をひそめ、真正面に神の御顔を仰ぎ、その恵みを思い巡らす。そのとき彼は神の無類の善意、揺るがない真実の中にあって、「心は喜び、魂は躍り、からだは安心して憩う」経験を致します。神の真実と善意ゆえに、いかに追い詰められても、神その方から喜びをいただくことが出来るのです。恵に身を浸すのです。これが信仰者の喜ばしい経験です。

この1年、私たちも常に神様を真正面にみ仰ぎ、さらに深く神の真･善･美を味わい、この一年の歩みを終える時、この詩編が私の詩編、私たちの詩編、そして私たちの教会の詩編となり、私たちの喜ばしい信仰告白となりますよう、神様の中に深く潜入いたしましょう。

ホーム  |  教会の紹介  |  説教集  |  キリスト教入門  |  リンク集